前課にてベトナム語の構文は、基本的にシンプルで、時制や主語の単数複数や性別による動詞又は形容詞の変格活用はないとご紹介しました。しかしながら、注意点としてベトナム語を話す際には、主語を省略してはいけません。そのために、会話する際にも、主語として必ず人称代名詞を入れて話す必要があります。
今回は、ベトナム語の人称代名詞について詳しくご紹介していきます。
人称代名詞とは
人称代名詞は、話し手(一人称)、受け手(二人称)、および談話の中で指定された人や物(三人称)を指す代名詞であります。
ある研究によると、ベトナム語の人称代名詞は約50種類以上も存在しています。ベトナム語人称代名詞は基本的に会話背景や相手の性別、年齢、相手との関係などによって変わります。間違い人称代名詞を使うことによって相手に失礼に当たることもありますので、人称代名詞を正しく使うことは大切です。
人称代名詞一覧
①話し手を指す一人称
ベトナム語の人称代名詞 | 日本語の意味 | 相手との関係 |
---|---|---|
tôi | 私 | 自分より年下または同い年 |
con | 祖母祖父、両親 | |
cháu | 祖母祖父、両親の兄弟、祖母祖父や両親とほぼ同い年の人 | |
em | 兄弟、自分より少し年上、肩書が上の人 | |
anh(男) | 自分より年下の人、後輩 | |
chị(女) | 自分より年下の人、後輩 | |
tao | 礼儀は気にしない、自分の権限又は怒りを示したい | |
chúng tôi | 私たち | チーム又はグループ外の人 |
chúng ta | チーム又はグループ内の人 |
図.「chúng tôi」と「chúng ta」の区別イメージ
②受け手を指す二人称
ベトナム語の人称代名詞 | 日本語の意味 | 相手との関係又は特徴 |
---|---|---|
Ông | おじいさん | 祖父、自分よりかなり年上の男性の人(70代以上の方を指す) |
Bà | おばあさん | 祖母、自分よりかな年上の女性の人(70代以上の方を指す) |
Bác | おじさん/おばさん | 自分よりかなり年上で両親とほぼ同い年ぐらいの人 |
Anh | お兄さん | 自分より少し年上の男性の人 |
Chị | お姉さん | 自分より少し年上の女性の人 |
Bạn/Cậu | 同い年の人 | 友達、同い年の人 |
Em | 年下の人 | 自分より年下の人 |
Cháu | 子供 | 女の子、男の子 |
③会話に直接参加しない相手を指す三人称
相手の特徴または関係にて、二人称の後ろに「ấy」を加えるだけで三人称となります。
例: ông ấy (あのおじさん)
chị ấy (あの女性の方)
人称代名詞を選ぶ際の注意点
ベトナム語を話す際に、ベトナム語の人称代名詞を選べないと思われる方がいるかもしれませんが、以下の数点覚えていただければと簡単に人称代名詞を活用することができるかと思います。
①一人称に関して、どこの場面においても「Tôi」または「Chúng tôi」が使えます。ただし、「Tôi」または「Chúng tôi」を使うと、会話の雰囲気が少しかしこまって聞こえるのでご注意ください。
②二人称に関しまして、相手は自分よりほぼ同また自分より少し年下の人に対して、親切に「bạn」を使っても構いません。初対面または相手の年が明らかにない場合、男性には「anh」女性には「chị」を使うのがベストです。
③お相手の年齢はどう見ても分からなかったら、相手に直接聞いても構いません。実際に、ベトナム人同士の会話の中でも、最初からお互いに年齢確認は当たり前です。女性に年齢を聞くのはNGではなく、聞かずに間違った人称代名詞を使うと失礼に当たります。